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世界で最初(最古)の求人広告から学ぶこと。気づくこと。

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男子求む。(探検隊員求む)。

至難の旅。

わずかな報酬。

極寒。

暗黒の月日。

絶えざる危険。

生還の保証は無し。
成功の暁には名誉と賞賛を得る。

アーネスト・シャクルトン

1900年、ロンドンの新聞の片隅にアーネスト・シャクルトンはある広告を掲載した。
その広告の文面が冒頭の一文です。(もちろん、原文は英語ですが)

とても小さな広告だったのにも関わらず、その内容(文面)のインパクトから
多くの話題を集め、その過酷な条件にも関わらず約5000人から応募があったそうです。

1914年の人類初の南極大陸横断成功へ向けた隊員募集。

これが世界で初めての「求人広告」と言われています。

※ほんとかどうかは定かではありません。

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「みんな大歓迎」と書かない求人広告

「これが世界で最初の求人広告だ」と教えられたのは、私がまだ20代で、求人広告の仕事に慣れ始めて、ちょっと調子に乗り始めていた頃(笑)だったわけなんですが、当時(2006年頃)の求人業界はイケイケドンドン(古い?)の時代で、確かタウンワークが数百億円の売上を突破した!なんて、社内で騒いでいた時期だったのを覚えています。

求人業界というのは実に辛い。何が辛いかというと、売れれば売れるほど求人雑誌が厚くなり、その分、応募の反響が落ちる。掲載件数が増えるほどに、紙面上で求職者の奪い合いになってしまう。だからといって、薄い求人メディアでは誰も手に取らなくなってしまうので、それなりに厚い情報誌にしようとみんな一生懸命広告枠を売るわけです。でも、そんなに厚くならないで欲しいと(内心)思ってる。世の中何事もほどほどがいい、ですね。

話が逸れてしまいましたが、アーネスト・シャクルトンの南極探検隊員募集の求人広告は、当時の私にそれなりのショックを与えたわけです。なぜかって、

至難の旅。わずかな報酬。 極寒。……

どれをとってもメリットなんか一つも書いてない!

当時私は「未経験者大歓迎」「とっても簡単作業」「かなり稼げます」などと言った、どこまでホントか嘘かわからないような、みんなに向けたコピーを毎日書き続けては、広~く呼びかける広告を作っていたわけです。広く告知する。それこそが広告だと思っていたほど。

そんな私を十分に打ちのめすだけのパンチ力が、この求人広告にはありました。

応募をとにかく集める!

選考するなら1人よりも10人!

10人よりも100人!

そんな思いで、多くの人が集まる広告の方が良い求人広告だと思っていた私。

世界初の求人広告と言われる南極大陸横断の隊員募集広告は、ターゲット設定(ペルソナ)の理論がしっかり盛り込まれた、優秀な求人広告だったのです。本当に危険な旅ゆえに、本当に乗り越えられる人材だけに応募させる。多くの人に呼び掛ける広告ではなく、本当に採用したい人間に、直接呼びかけハートを掴む広告を作っていました。

このアーネスト・シャクルトンの求人広告で欲しかった人物像は
それは「どんな過酷な事態にも前に進める強靭な精神」を持った人。

冒頭の一分は、そのターゲットに刺さる極上のキャッチコピーでもあったわけです。

力のある広告ほど、大きな反響がある

ターゲットを絞るほどに、基本的には応募数は減る?ように思う方もいるかもしれません。実は私もずっとそう思ってました。ターゲットの心に刺さる広告を作るわけですから、普通に考えれば、心に刺さらない人が大半なわけです。

ターゲットを絞れば絞るほど、応募者をそぎ落としていくような気持ちになります。

不要な(採用に繋がらない)応募者を振い落しているから応募が減るのでは?考えるのが自然かなと思います。しかし、意外にもターゲットを絞るほどに「力のある広告」になり、大きな反響に繋がります。

それはなぜでしょうか。少し視点を変えてみましょう。

求職者の総数は求人広告にとってはさほど意味を持たない。

求人広告で「誰でも大歓迎」と書いたところで、全員が応募でしょうか。現実的には「みんなのご応募待ってるね」と書いたところで全員は応募しません。全員が応募するような稀な求人広告で、ターゲットをしぼめれば、それは応募数は減ると思いますが、現実では、老若男女誰でも応募するような人気の求人広告は稀です。もっと言えば、老若男女誰でも応募するような広告の多くはだいたい大量募集をうたう広告なので、ターゲットを絞ったりは不要です。

ある求人メディアが10万人のユーザーを抱えるビックメディアだったとしても、企業にとって10万人からの応募を望むわけではありません。内心では「10万人もいるんだから、きっと良い人材が見つかるだろう」と思うだけです。

企業にとっては10万人ではなく「1人の良い人」の方が価値があります。

10万人の群衆の中から、たった1人に注目してもらう為にはどうするか?

ターゲットを見極め、インパクトのある広告を作ることで「話題」「魅力」「印象」などの力を発揮したほうがいいわけです。

10万人にラブレターをばら撒くよりも、10万人の群衆の中のたった一人にプロポーズしたほうが、大きな反響になると思いませんか?

100年前の求人広告に学ぶこと

応募がない。反響が悪い。ロクな人材がこない。さまざまな理由で、応募のハードルを下げて、ついつい「誰でも大歓迎」なんて一文を載せてしまっているアナタ!!

気持ちは痛いほどわかりますが、100年前の求人広告を観て感じることはありませんか。私は結構ズキュンと感じるものがあります。あえてハードルを高く設定することで、より優秀な人材を得る。当時としても小さな広告で、もちろん写真もなく文字だけの求人広告。にも関わらず大きな反響を得たのは、偶然の産物だったのでしょうか。

それとも求人広告の力だったのでしょうか。

この記事を読んだアナタ自身はどう感じたでしょうか。

本日は、世界で最初の求人広告と呼ばれている、ある広告をご紹介させて頂きました。

補足

アーネスト・シャクルトンはイギリスの南極探検隊を3度率いたアイルランド生まれの極地探検家です。1914年、南極大陸横断を目指す航海の途上で氷塊に阻まれ座礁し、その後22ヶ月もの長きに渡る漂流の末、無事生還。南極大陸横断こそ失敗したものの、22人の全隊員を誰一人死亡させることなく全員無事に生還させた功績は、高く評価され「極限状態の中でチームを維持するリーダー」として名前があがることが多い人物です。ちなみに、冒頭の求人広告の文面も、アーネスト・シャクルトン自身が考えたと言われています。

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