自社の魅力をうまく伝えられない方へ贈る言葉

悲しみ堪えて、ほほえまなくても良いので読んでみてください(笑)

当社は業界で第1位のシェアで…。当社は業界では唯一「○○の技術」が…。求人広告の打ち出し(広告コンセプト)のひとつに“企業の魅力”軸があります。シェアや規模感・独自の技術・珍しい製品・流行の商品・最先端のサービスなど、他社に負けない独自の魅力を伝え、同業他社を差別化し、求職者に興味や関心を頂いてもらう方法です。これは、もう手法と言うよりも、ほとんどすべての企業が自然とやっていることでしょう。

とはいえ、多くの人事担当者は一旦、立ち止まってしまいます。「ウチだけの魅力ってなんだ?」と思考のループに陥ってしまうことがあります。だって、ほとんどの企業は業界1位ではないし、独自の製品だって作ってるわけじゃない。どこでも扱っている商品をそこそこの規模感で販売している会社…。「さて、うちの魅力って何だ。」と、悩んでしまいます。これが、中小企業の採用迷宮のひとつです。

企業の魅力をどう掘り下げるか

実は、求人ライター(取材する側)が、おそらく一番最初に調べるのが“企業の魅力”を掘り下げる作業です。どんな企業であっても、必ず何かしらの魅力はあります。例え、採用が難航していて、従業員も定着しない…。そんな企業であっても、どこかに採用のツボはあります。そこを掘り下げていくのもライターの仕事です。採用の失敗は経営に大きな金銭的・事業的打撃を与えますが、逆にいえば、良い採用がもたらす利益もまた、なかなかのホームラン級の一打だったりします。

規模が小さい企業は、裏を返せば“社長との距離が違い”“アットホームな会社”といえますし、大企業にはない雰囲気が性に合っていると思う求職者も大勢います。

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うちは普通のどこにでもある会社だよ。

昔、創業からずっと固定のメンバーで経営していた従業員5名のある卸問屋の広告を引き受けたことがあります。設立から変わってないのだろうかと思うほどの、昭和の香りが漂う備品や棚。21世紀とは思えない紙の伝票を束ねる重厚な書類たち。創業からずっとこのメンバーで、歳を重ねてきたんだろうなと想像できる社内で、社長に話をうかがっていました。社長と話をしていくと、もう2年以上、採用がうまくいっていないというお話。メンバーも皆、定年がせまっている。事業を受け継いでいってくれる若い世代に来てもらわないと…。そんな話を聞きながら、これまで出してきた広告を拝見すると“企業の魅力”がまったくといっていいほど、表に出ていない広告ばかり。

社長は「うちは普通のどこにでもある会社だよ。」と終始話していました。確かに、革新的な事業をしているわけではない。同じような会社はほかにもある。しかし、だからといって、この会社の魅力を掘り下げずに、よそいきのコピーばかりを散りばめても、採用はうまくいかないのです。当時私は“企業の魅力”とは飾りの多さで決まるわけじゃない。すべての飾りを取り払ったときに、残ったものが“この会社だけにある魅力です”と伝えたのを覚えています。

そこで一からコンセプトを練り直し、“何十年も変わらない顔ぶれ”であることや“特別なことは何もないが、それがもう何十年も続いている”といった内容から、コピーを導き出し、等身大の広告を制作。おかげ様で、彼ら既存メンバーの若かりし頃を彷彿とさせるような人物を新メンバーとして迎え入れることに成功しました。

背伸び広告は禁物

広告づくりに関しては、いろいろな成功パターンがあるので、ここでは言及しません。今回、何を一番伝えたいかというと、自社の魅力を考えるときに、無理に背伸びをしないこと。他にはない“特別な魅力”がある!と私は断言します。しかし、無理やりに“特別な魅力”を作り上げてはダメです。

会社の魅力を掘り下げていくことは、経営者にとっては、なかなか気持ちの良い瞬間です。会社の雰囲気や待遇面などを伝える広告よりも、企業の魅力や創業期からの歴史を伝える広告って、経営者のウケがバツグンに良いです。だって、会社は自分の分身であり、子どものようなものですから。悪い話も良い話も、すべて最高の思い出話となるわけです。

二つとして同じ家族の風景がないように、企業もまた、同じ企業などはありません。特別なエピソードではなくても、ここにしかない会社の歴史や苦労や成功の足跡はあるでしょう。それらを丁寧に、拾い上げていくだけでも、素晴らしい採用広告は発信できます。ハリウッド映画を作ろうとせずに、最高のホームビデオを制作する。そんな気持ちで求人広告を作ってみるのも、ひとつの求人広告の手法です。

少し照れくさいかもしれませんが、家族の自慢できるポイントを探すように、会社の良い所を考えてみませんか。たぶん、ちょっと恥ずかしいな…。なんて思うポイントが、正解のポイントだったりします。

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