採用の現場で必ずと言っていいほど話題に出る「コミュニケーション力」。面接の際にもより重要視する項目のひとつではないでしょうか。当たり前の話ではありますが、会社というのは、人と人がコミュニケーションを図りながら、ひとつのビジョンを共有し、プロジェクトを達成してくわけですから、学歴や経験よりもコミュニケーションを重要性は非常に高いのです。
社内コミュニケーションの実践
とはいえ、選びに選びぬいたコミュニケーション力抜群の人材ばかりを採用したとしても、それで終わりとならないのが組織の難しいところです。いつの間にか今度は「社内コミュニケーション」について上層部は悩み始めます。近年、ITの目まぐるしい発展で様々な情報の共有が瞬時にできるようになりました。効率化が進み、互いの顔が見えなくとも仕事がスピーディに処理されていく環境は、個人と組織の関係ばかりが強調され、いつの間にか集団としてのあり方が薄れてきます。個人と企業の関係性ばかり際立ち、社内コミュニケーションは、もはや不要の産物のように考える人もいるでしょう。
しかし、会社の評価制度や業務の推進・組織の体制が個人によりつつも、どうも「会社が明るい」とか「みんな仲が良い」「一致団結」といった部分を気にしている上層部は多いのです。
今回の内容でいえば、愛社精神を論じるつもりはありません。ただ、会社というひとつのブランドに集う仲間として、社内の人間関係が気薄であるよりも、円滑である方がより企業のポテンシャルは増えるのではないか。そう考える社長(または上司)というのは、結構多いという事実と、その中でいかに社内コミュニケーションを実践していくか。その点について書きたいと思います。
そこで今回は、社内コミュニケーションについて、見落としがちなヨコのコミュニケーションについてお話をしたいと思います。
3つの社内コミュニケーション
本当は4つも5つもあるかもしれません。まぁ、とはいえ、基本的な3つのコミュニケーションを今日はご紹介します。私が今日お伝えしたい「ヨコのコミュニケーション」をご紹介するにあたり、3種類の社内コミュニケーションとしました。たぶんこれが一番一般的だと思います。この3つの違いをしっかりと意識して、バランス良く推進していくことが社内コミュニケーション活性化の極意です。どれかが欠けてしまっていては、かえって社長と社員の距離を広げてしまうことにも繋がります。
全体の社内コミュニケーション(会社全体での連帯感・一体感)
タテの社内コミュニケーション(上司と部下・社長と社員)
ヨコの社内コミュニケーション(同僚・同期・従業員同士)
◆全体のコミュニケーション
全体のコミュニケーションは、よく実施されている項目でしょうか。年に一回の社員総会・クォーター毎のキックオフ・社員旅行・社内の達成パーティーなどが当てはまります。会社全体の行事ですから、社長や上長としても思い出や記録に残る部分でしょう。
◆タテのコミュニケーション
次にタテのコミュニケーションについてです。ここの部分は皆さんにとって一番苦労されている部分であり、一番勉強されているところではないでしょうか。「部下をやる気にさせる為には」「上司に認められるには」と、双方が自発的に学ぶことも多く、コミュニケーションが育ちやすい部分です。
タテの社内コミュニケーションは、上司の立場からすれば、目標管理や仕事の達成度・仕事の評価など、コミュニケーションが組織構築のひとつの要因として重視されます。コーチング研修や育成プログラム等、学ぶ機会が多い部分でもあります。
社員との信頼を深めたい。社員に信頼されたい。部下たちに慕われる存在でありたい。上司としての器の大きさを見せたい…。などなど、社長や上司という生き物は、とにかく“絆”を深めたくなる方々です。だからこそ、急に退職願なんて出された日には「俺ほどお前に目をかけた上司はいないぞ!」なんて激怒しちゃったりするわけですが、タテの社内コミュニケーションを一番気にする部分ということは確かです。
忘れがちなヨコの社内コミュニケーション
実は、社内コミュニケーションで一番忘れがちな部分が、ヨコの社内コミュニケーションです。どうにもこうにも、いろいろやってるのに上手くいかない。そんな時は、ぜひ、ヨコの繋がりを活性化していくことを考えていきましょう。個人主義になりがちな組織の中では、同期や同僚などの横の繋がりは、会社としての推進は実はあまりありません。現実的には、個々に任されているのが実情ではないでしょうか。たまたま仲の良い世代・チーム・部署であれば、頻繁に飲み会をしたり、休日にはBBQをしたりするけれど、特にノリの合わない世代や部署であれば、特に交流はない。
今、多くの企業では、この同僚・同期の交流を活性化させる為の動きが盛んです。ランチ代や飲み会の交流費を会社が負担し、社員同士のコミュニケーションの機会をうながすことで、連帯感や一体感を生み出しています。また、部署間の異動や新事業の立ち上げに伴うメンバー選考など、これまで上層部が決めていた人事毎に社員の希望を考慮することで、組織間のリフレッシュを図ろうとする動きもあります。社員が自らの希望で部署を渡っていくことも、ひとつのヨコの社内コミュニケーションの一環です。
そして、ひとつ重要なのは、特に少数企業であればあるほど、そこに上司や社長の関わりは避けるべきです。せっかくの同期会を催しても、輪の中心に社長や上長がいては、まったく意味がありません。頭ではわかっていても、ついつい顔を出したがるのも社長や上長の悪い癖です。これは、タテの部分とヨコの部分を混同してしまうことで起こることです。社員の自主性を育てる意味でも、ヨコの社内コミュニケーションには関わらない。それが成功の秘訣です。
いかがでしたでしょうか。自分の会社を見渡してみて、なんとなく社員同士の交流が薄いと感じたら、今回の3つの社内コミュニケーションを考えてみてはいかがでしょうか。
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