日々求人業界で語られる「有効求人倍率」。いまさら説明するのも億劫ですが、というよりは、正直いまだにこの指針の意味がわからず興味もわかないというのが本音です。ようは1つの企業に対し、何人の求職者がいるか。そういう話です。
しかしこのデータ、求人業界で実際どう活用していいのか本当にわからないんですよ。いまだに採用の現場で「有効求人倍率」語りながら、商談を進めている営業マンに出会うと悲しくなります。売り手市場・買い手市場なんてよく話されていますが、これ、いいかげんやめにしませんか皆さん。
景気の動向や日本の経済について語るならわかります。大事なデータです。でもね、アナタの企業の人材採用を成功させる為に、必要なデータですか?どうしても人が欲しい時期に、有効求人倍率がどうとかいって求人出すのやめますか?逆に特に人材も必要としないのに、求職者がいっぱい動いている時期だからって、求人広告出しますか?有効求人倍率がどうのこうのといっても、ほとんどの会社さんではあまり関係ないのです。
「有効求人倍率」に直接的な影響はない。
そもそも求職者が溢れているからといって、アナタの企業に優秀な応募者が殺到しますか?求職者も人間です。時代がどうあれ、応募したい企業に応募します。そして企業も同じです。時代がどうあれ、採用したい人材しか採用しません。
人が動く時期、動かない時期というのは存在します。ボーナス前後や長期休みの前後などは、求職者の流れを予想して、広告掲載をずらしたりします。ただ、有効求人倍率を踏まえて、あえて求人募集の掲載をやめることはありません。常に数十万件の求人広告が世の中に出回り、求職者も数十万人動いています。アナタの会社の数名の募集に有効求人倍率が影響することはほとんどありません。影響を受ける前に、やるべき採用のアプローチ方法はたくさんあるのです。
日本の企業の97%は中小企業・小規模事業と言われていますが、その経営者のほとんどは、その中で、自らの会社の経営を今後どう展開していくか。攻めるか守るか、攻めることが守ることに繋がるのか。周りの動向を探りながら、最適な「採用時期」を探ろうとします。結果、同じような時期に皆さん一斉に採用募集をかけ、応募者の奪い合いになったりするなんてこともあるわけですが、そのひとつの指標として語られる「有効求人倍率」は、実際には何も気にすることはありません。
世の中の人事担当者たちは、話題のひとつとして結構語りたがります。「今日の新聞見ました?有効求人倍率が。。。」なんて話で打ち合わせが始まることもしばしばあります。そんなときに「有効求人倍率見てないですねー」なんていってしまうと「何だこいつは、ニュースに疎くて大丈夫か」なんて思われてしまいますが、この有効求人倍率だけについては、本当に気にしてません。
採用の基本は企業と採用ターゲットをいかに効率よくマッチングさせるかです。採用ターゲットが全くいないというなら話は別ですが、常に人材の動いている日本においては気にすることはないのです。
潜在的求職者へのアプローチ
そしてもう一つ、最近では求職者ではなく、潜在的求職者に対してアプローチしていく採用手法も広まってきました。つまり、今は会社に在籍していて、転職をする気もないが、良い会社と出会えるのであれば転職を希望したい、という潜在的な求職者層です。その多くは企業側にとっても手放したくない優秀な人材であることが多く、新たな人材市場のひとつとして今後も広がっていくでしょう。そうなると、それこそ有効求人倍率がどうとか、関係なくなってきます。
会社にとって有益な人材を、必要なタイミングで採用したい。それが唯一最大のミッションであり、そこに人材市場の動向は実のところあまり関係ありません。ひとつだけ有効であることがあるならば、それは採用ターゲットを変える場合です。各世代や学生・主婦層など、特定の層の動きが鈍いというデータをもとに、あえてターゲットを変えて、取りやすい層に狙いを定めた求人戦略であるならば多少有益でしょう。しかし、そのアプローチって大量に人材を募集したいとか、複数の店舗で一括で求人をかけたいといった、ある程度の規模感での話です。採用枠数名の募集であれば、しっかりとターゲットを設定して、コンセプトのある求人広告を作成した方が、よりよい結果に繋がるでしょう。
もし、みなさんの周りで有効求人倍率をチャンスやピンチと語るような採用のプロがいらっしゃいましたら、ひと言聞いてみてください。「それって、うちにどれくらい影響するの?」って。求職者が溢れているから、採用成功するのではありません。アナタが本当に採用したいと思う人材のもとに広告が届き、その採用ターゲットがアナタの会社の魅力に気づき、応募してくる。だからこそ、採用が成功するのです。
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