応募者の「印象」だけで合否判断しないために、覚えておきたい心理学のウンチクたち

おかげさまで最近は、みなさんご存知の某東証一部の新会社設立プロジェクトの採用部門を任せていただき、忙しくさせていただいております。

そんなわけで、更新が滞っている言い訳にもならないのですが、本ブログも毎月多くの方々に見ていただいてありがたく思います。さて、書きたいことはいっぱいあるのですが、たまにはこういう役に立つのかたたないのかわからない心理学も面白いかなとおもいまして、今日は採用に活かせるかもしれない心理学のお話です。

採用シーンでの応募者との面談ってなかなか重要ですよね。履歴書の書面上だけではわからない、応募者の人柄や印象は、選考に大きな影響を与えます。一方で、限られた時間の中とはいえ、第一印象だけで良し悪しを判断することに、不安を抱く採用担当者も多いと思います。

そこで、企業が実際に導入している、心理学にもとづく効果的な選考手法を3つご紹介いたします。

採用シーンで活用される「ネガティブチェック」


採用における第一印象はとても重要です。「最初にハキハキと挨拶をした」「清潔感がある服装だった」など、第一印象が良いことで生まれる「相手への好感」は、その後の面談中も強い印象として心に残ります。

実は、人間には、最初に入ってきた情報に強い記憶を覚え、より重要な情報として認識する心理反応という効果があります。これを心理学では「印象形成の初頭効果」と呼びます。

例えば、サバンナで初めて出会った動物同士は、自分にとって安全な相手なのか、危険な相手なのかを判断するために、普段以上に警戒し、無意識に神経を集中させます。そのため、より多くの情報を得ることができるわけですが、裏を返せば、どうしても第一印象の情報が記憶に強く残ってしまうのです。(ほんとかしら)

選考においては、初対面である「一次面接」の印象が選考に大きな影響を与えます。応募者にとっては、印象の良い立ち振る舞いをすることで、好印象を与えるチャンスですが、面接官にとっては、印象が残りやすいために注意が必要です。難しい話は抜きにして、第一印象はイメージがより強く残りやすいと覚えておきましょう。

仮に、最初の挨拶で「好感が持てる相手」だと認識してしまうと、その後の面談中に、いくつか不安なポイントを感じても、気にならなくなってしまう可能性があります。逆に、最初の印象が悪い印象となってしまった場合、その後のどんな素晴らしい経歴やエピソードの紹介も、どこか物足りなさを感じてしまうこともあるのです。

多くの中小企業の採用担当者と話をしてきた私ですが、実体験として確かに、この第一印象に引っ張られてる面接官って多いなと思いました。これは最終面接を担当されるであろう社長さんにも言えることです。

特に未経験採用の場合、ポテンシャル重視という名目のあまり、「印象」で採用決定してしまうことが多くあるように思います。

選考では、スキルや経験など、第一印象では決められないポイントがいくかあります。「印象」に左右されすぎずに、客観的な要素をチェックしていく必要があります。そこで用いられるのがネガティブチェックという手法です。

一般的なネガティブチェック項目例

 ・話し方(声の大きさ、スピード感、語尾、口癖)

 ・動作(話す仕草、履歴書の扱い方)

 ・目線(会話時の目線)

 ・姿勢(入退室時の挨拶、落ち着き)

 ・表情(笑顔、硬さ、うなずき)

これらの5項目を意識して、客観的にチェックします。それが第一印象に左右されない「印象」の評価となります。漠然とした印象で、評価を決めてしまわないように、ネガティブチェックをもとに採点し、他の面接官や二次選考のデータとして、共有しましょう。

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視覚情報を優先するメラビアンの法則

メラビアンの法則とは、カリフォルニア大学ロサンゼルス校(UCLA)の心理学名誉教授である、アルバート・メラビアンが1971年に提唱した、人の「印象」に関する実験結果です。

対面する相手から発せられたメッセージを、人はどう受け止めるかに関する実験を行なった結果、人物の第一印象は初めて会った時の3~5秒で決まり、またその情報の多くを「視覚」から得ていることがわかりました。

会話の中で、受け手が重要視しているポイント

・話の内容など<言語情報> 7%

・口調や話の早さなど<聴覚情報> 38%

・見た目など<視覚情報> 55%

このように、人間は話の内容よりも、話し方や見た目などの視覚情報に重きを置く傾向にあります。(と、結論づけるとちょっと誤解がありますが)

実はメラビアンの法則は、視覚情報が一番重要であると、結論しているわけではありません。話の内容があいまいだった場合に、人は何を重視して判断するかといった、ちょっと複雑な条件を持っています。ただ、面接というある面で、特異な環境下に置いては、このメラビアンの法則を少し頭の隅に入れておくだけでも、大いに役立ちます。

話の内容よりも、視覚的な印象に左右されてしまう認識を持って、ぜひ、面談にのぞんでみてください。「面接がうまい」=「優秀な人物」とは限りません。応募者の会話の内容に、より耳を傾けるだけで、これまでとは違った応募者の一面を見ることができることでしょう。

日本では、「人を見た目で判断してはいけない」と言う言葉がありますが、裏を返せば、それだけ人は、見た目で判断してしまいがちとも言えます。

ファクトファインディング(事実だけを探る)

圧迫面接という言葉を聞いたことがあるでしょうか。「私が厳しい質問役をやるから、君がフォロー役をお願い」といったように、わざわざ役割分担を決めて、あえて厳しい質問を繰り返す面接を行う企業があります。

応募者のストレスチェックや、無理難題に対する対応力をみる名目で行われますが、実はあまり意味がありません。

心理学の専門家であれば、質問によって相手の心理を判断することもできるかもしれませんが、一般的な企業の面接官は、心理学のプロではありません。ストレスチェックや柔軟性・協調性・不測の事態をどう対処するかなどをチェックしたい為に、あえて厳しく接するという「圧迫面接」の手法は、企業の好感度を下げるばかりで、かえって内定辞退のリスクを増やすばかりです。

応募者の適性や人間性を知りたければ、適性テストや過去の経歴から抽出する手法が効果的です。面談時は、できるだけリラックスした状態で、質問に応えてくれる空気づくりをするのが、面接官の役割です。

仕事の耐性を知りたければ、過去の経験から「辛いことを乗り越えたエピソードなどを聞かせてください。」と、質問するのがもっとも的確です。面接の場では、できるだけファクト(事実)だけを引き出すように心がけましょう。

それがファクトファインディング(事実だけを探る)という考え方です。面接の場は、駆け引きや知恵比べをする場ではありません。せっかくの有能な人材も、面接の印象の良しあしで、内定辞退という結末を迎えてしまいます。

基本はファクトファインディング=事実だけを探る。

面接官はいかに、応募者の情報を聞き出し、話を聞くというスタンスでいることが肝心です。話しやすい会場づくり、答えやすい質問項目を考えながら、ぜひ、応募者の魅力を引き出すような、そんな面接をしてみてください。

最後に……

今回の記事は、ちょっとウチのブログっぽくない、他所の学説のご紹介みたいになってしまいましたが、心理学の権威がそういってる!となれば、なんとなく説得力が増すのかなと思いながら、書いてみました。

そうです、心理学のウンチク記事ですね(笑

ただ、こういった心理学も知っているといないでは、面接や採用にのぞむ気持ちが変わってきます。ウンチクおじさんになってしまう危険もありますが、いつもとは違った視点を持つキッカケになれば幸いです。ではでは。

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