採用に大切な「採用ペルソナ」は“イズム”を探ること

最近では、「採用ターゲット」という言葉も採用の現場では、普通に聞かれるようになりました。ひと昔前まで、採用はどれだけ応募者を集めるか。母集団形成ばかりが問われていたように感じます。(まぁ、いまでも応募数に固執する方は多いと思いますが…)

より自社にマッチした人材を獲得するにはどうすればいいのか。たくさんの応募者の中から、獲得すべき人材とは誰なのか。さらに深く掘り下げると、自社にマッチする人材とはどんな人物なのか。採用をキッカケに、我々らしさ、うちだからこそ活躍できる人とは何か、といった会社の目指すべきブランド像みたいなところを、考える企業が増えています。

自社にとって最良の人材を探るキッカケとして、採用ペルソナがあります。元々はマーケティングの世界でよく使われる手法でしたが、近年、採用マーケティングの登場で、広く知られるようになりました。ただ、「ペルソナって何?」って思っている方もいらっしゃると思いますので、少しペルソナの説明をしてから、本題に入りたいと思います。

採用におけるペルソナとは

例えば、ある化粧品会社が30代の女性向けに、新商品を作りたいと開発をスタートさせる時、これまでの販売データの他、30代女性にインタビューしたり、他社の傾向を分析したりと、様々なリサーチするわけです。
その過程で、より深く対象の傾向や潜在的な行動を理解するために、仮想の30代の女性のモデルを作りこむ、それが「ペルソナ」と呼ばれる手法です。
30代女性のリアルな架空の人物を生み出し、その彼女が、普段どんな生活をしていて、どんな趣味や関心を持ち、仕事帰りにはどこに立ち寄り、カバンの中身はどんなモノが入っているのか。徹底的にリアルな人物を作り上げます。

その仮想モデルをもとに、新製品のコンセプトを練ったり、販売する場所、広告戦略の参考にします。これまで新製品の開発や販売戦略、店舗の出店場所など、販売の世界で使われてきたペルソナですが、最近では採用における「採用したい人物」をペルソナ化して、より効果の高い採用アプローチを考えるようになってきました。

なんだか、良さそうです。実際にやってみると、様々な面で高い効果を発揮するアクションではあるのですが、実は、きちんと理解をして段階を踏まないと、落とし穴が多いのも採用ペルソナの特徴です。

ペルソナづくりを、採用にそのまま置き換えると、採用したい人物モデルを作り、その彼、彼女が応募してくれる(または入社してくれる)には、どんな自社の魅力を打ち出し、どこに広告を展開すべきかを探る作業になりますが、感の良い方なら、ちょっと違和感を感じるはずなんです。

だって、会社とは、いろいろな年代や価値観を持った人々が活躍した方が素敵ですよね。「特定の誰か」よりも、「誰もが」活躍することを目指しているはずなのに、ターゲットを絞りましょう!といきなり言われると少し混乱してしまう。

例を挙げてみましょう。
とある営業会社でペルソナをつくる場合、全社を挙げて売り上げを伸ばそうという風土がある会社であるほどに、ペルソナづくりは「売上にこだわる人」みたいになってきます。これから入社する社員が皆、売上(数字)にこだわる人物像であれば、経営陣もご満悦です。
しかし、一方で、会社そのもののミッション(社会的価値)に視点を移すと、より価値ある製品を多くの人に届けるのならば、売ることと同じくらい、良い製品を生み出すことも大切なミッションになります。品質管理部とか、商品開発部といった部署であれば、品質に対する探求や、信頼づくりが会社にとっての最大の貢献になるかと思います。
単純に「売り上げにこだわる」「数字にこだわる」だけではない、思考も必要になりますよね。

いろいろな考え方、視点を持った人々が、会社の中にはたくさんいて、だからこそ会社は発展していくのだと思います。単に売上を追う人ばかりでは、うまくいかない。

採用ペルソナにおいて、特定の個人にフォーカスすることって正しいの?それとも職種ごとにいろいろ作るのかな。そんな疑問が湧きます。

今回は発想をシンプルにするためにゴールを先にお伝えします。

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イズムを探ること

多種多様な価値観の集まりの中で、ある一つの目標を追うための、指針、イズムを探る。これが採用ペルソナの本質的なゴールです。

イズムを軸として、各職種ごとに多少、ターゲットに幅を持たせていくのが、失敗しない採用ペルソナです。

私自身の話をすると、ご紹介のとおり、若い頃はリクルートの求人情報誌タウンワークの制作拠点で育ちました。
営業やデザイナー、カメラマン、請求や受注処理を担当するサポートチームなど、様々なポジションの仲間がいましたが、ある共通のイズムとして

「自ら機会を創出し、その機会によって自らを変えよ」という言葉に影響を受けました。

リクルートに縁のある方であれば、だいたいこの言葉を知っていると思います。

ミッションは皆バラバラでも、一つの共通の指針があったことで、皆で一つの目標を目指すことができたのかなと思っています。

採用ペルソナづくりは、特定の人物を掘り下げていくイメージがありますが、その人だけが活躍できる会社なわけではありません。また、その人っぽい人だけを採用していくわけでもありません。採用ペルソナづくりから“イズム”を探り、うちの会社って、色々な人がいるけれど、総じてみんな「●●」を大切にしているよね、と言える「●●」を見つけるのがゴールです。

実際に採用ペルソナを探る実践研修を行なっています。

ご興味のある方は、ご連絡ください。

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