現役ライターが実践する、求人広告キャッチコピーのコツ

 良いキャッチコピーは“心が動く”

 「心が動く」とはどういうことでしょうか。採用は求職者の人生に大きな影響を与えます。もちろん、それだけではなく、その周りで働く人たちの人生にも影響があります。入社の約束を取り付けるだけが採用のゴールではありません。採用成功をどこに位置付けるかによりますが、少なくとも、求職者は人生をよりよく変えていこうとの想いで転職活動をし面接をするために、わざわざ時間を割いて来社します。

 だからこそ、応募にはそれなりの動機づけが必要です。求職者の心をつかむコピーを考える上では、チョコレートケーキを売るキャッチコピーよりも、少し難易度が高いかもしれません。宣伝とは「伝える」ことですが、ご紹介(伝える)ではなく、誘う(誘導する)コピーを書くことが必要です。

 広告は恋愛に例えられます。高学歴で高身長でイケメンであれば、自己紹介だけで一目惚れされることもあるかもしれませんが、実際のところは、想いを伝え、誠意を見せ、マッチした間柄だと思わせる努力が必要になってきます。ただ「伝える」だけでない、応募まで「誘導」していくにはどうしたらよいのか。

 採用のキャッチコピー制作において、実践的で有効な手法をまとめました。「未経験者大歓迎!」「アットホームな会社です」といったコピーから脱出し、より魅力をひきだすコピー制作に活かしてみましょう。

相手の目線で書いてみる。

 募集する側のメッセージとして、ついつい「企業目線」でキャッチコピーを書いてしまいがちです。それも一つの手法ではありますが、求職者側の視点に立って考えることで、よりインパクトのあるキャッチコピーが生まれます。企業目線ではなく、相手の目線で書いてみてください。

 求職者側の目線とは「求職者本人」「その家族」「妻・恋人」「将来の恋人」「親」「友人」「常連店のマスター」…などなど、たくさんの視点があります。企業目線からいったん離れてみると、求職者の気持ちが見えてきます。

(例)
ワークライフバランスのある働きやすい環境です。(企業目線)
家族と毎日夕飯をともにできるので、妻の機嫌がいい。(求職者目線)
寝顔を見るだけの子育ては卒業した。(求職者目線)

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「数字」を探してみる。

 アナタの周りにはたくさんの「数字」が飛び交っています。
「未経験者活躍中!」これ一つとっても、実際に何人が活躍しているのか、全体の何%なのか、未経験者たちの年齢は何歳なのか、何カ月で一人前に成長できるのか……など様々。これらの疑問を「数字」で表すことができれば、訴求がグッと強くなっていきます。

 具体的な数字を探していくなかで、もしあまりインパクトがないなと思えば、書かなくても良いです。ただ、不用意に数字をねつ造してはいけません。
「数字」は常に等身大である必要があります。仮にすこし盛った数字を提示しても、リアリティのない数字には反響はついてきません。

 稼げる!年収1000万円!と書いたところで、実際の社内にそれほど稼いでいる人がいないのであれば、その盛った印象は不思議とプラスには作用しません。嘘っぽいなと思われる宣伝文句など、誰も見向きをしないことは、私たちは日常でよく知っていることでしょう。

たった一人のために書いてみる。

 そこのカップルも爺さんばぁさんも、通りがかりの学生さんも、皆さん寄ってらっしゃい見てらっしゃい!

 つい多くの人々に広告を見てもらいたいと考えがちですが、こと採用においては「選考」という壁が存在し、マッチングが重要となります。採用にマッチングしない人にまで広告を届けることはコストの増加の危険もありますし、本当に口説きたい相手との出会いのチャンスを奪います。

 誰にでも言ってる口説き文句は「誰でもいいんだな」と思わせてしまう危険があります。「あ、私のことだ!」と思わせるコピーが採用においては最良の視点です。

 採用ターゲットがどんな課題を抱えていて、何を解決することができればよいのか。何を望んでいるのか。それらの答えを考えるとき、「みんな」の視点では導くことができません。また、ターゲットを明確にすることは、「どんな人が欲しいのか」「どんな人物が自社に必要なのか」を明確にすることでもあるのです。

「なんで?」と質問してみる。

 一生懸命書いた、自信作のキャッチコピーを誰かに届ける前に、まず自分が求職者の気持ちになって読んでみてください。

 「未経験者大歓迎」というキャッチコピーを呼んだ時、素直に「やったー!未経験でもいいんだ!」と応募してくる人ばかりではありません。「なんで未経験者を募集しているの?」「本当に未経験でも大丈夫なの?」「未経験ばかりなら、経験者には魅力的でないのかも」…などといった、様々な想いが交差することを忘れてはいけません。

 例えば「働きやすい職場です!」というキャッチコピーを呼んだ時、「なんで?」「どのへんが?」「実際は?」「本当に?」など、様々な次の質問が生まれてくるはずです。疑問符がある時点で、そのキャッチコピーは、まだまだ改良の余地があるかもしれません。

 コアタイムを設け、社員が勤務時間を自由に設定しているから働きやすいのか、急な家庭の事情でも早退がしやすいから働きやすいのか、「なぜ働きやすいのか」までがわかる内容を目指すと、グッと良いコピーになります。

得することを書いてみる。

 長年の信頼と実績でおかげさまで20周年—。よく見かけるコピーです。私も事業者の端くれなので、書きたい気持ちはわかります。わかりますが、伝えるべき魅力はメリットではありません。求職者にとっての得すること(ベネフィット)を書くことを意識してください。

自慢話はしない。

 ついつい、会社を良くみせようと魅力を詰め込んでいるうちに、ただの自慢話になっていることがあります。他人の自慢話ほど、聞きたくない話はありません。それを広告でやってしまっては応募どころかブロックされるだけです。武勇伝ではなく、ファクト(事実)だけを書くようにしましょう。

カタカナ語は一旦やめてみる。

 業界のリーディングカンパニー、ワークライフバランス、ソリューション、オピニオンリーダー……などなど、ついついカッコ良さげのカタカナを使ってしまいがちですが、それらの言葉がパンフレットに載ってるだけで、日常では使わないワードなら、伝わらないのでやめましょう。

ひとことで言ってみる。

 伝わらないよりは、少々長くなっても丁寧にきちんと文章を書いたほうが良いと思いますが、あまり長いコピーは伝わりずらくなります。できあがった長めのコピーを「ひとこと」でいうならばどこをチョイスするか。

 もし、エレベーターに乗り合わせて次に扉が開くまでに、伝えたいことを言わねばならないなら…。はたして何と言いますか。

ギャップ萌えをやってみる。

 少数精鋭のプロフェッショナル集団が、NASAのロケットを打ち上げる。これでは面白みに欠けます。社員数人の町工場が、NASAのロケットを打ち上げる。これがギャップ萌えです。終始かっこいい文章を書きたいとなりがちですが、言葉のチョイスを変えることで、コピーに魅力がうまれます。

ポジティブに変換してみる。

 あまり魅力的ではないなと思っていること、特にデメリットだと思っていることを、ポジティブな視点でとらえてみましょう。肉体的にキツい仕事をデメリットととらえず、仕事をしながら筋肉トレーニングになると思えば、ポジティブ視点になります。弱みと思う考えを、強みだと思ってみるのです。

たとえ話をしてみる。

 レモン100個分のビタミンCと言われると、なんとなくすごく感じます。実際の効果はよくわからなくても、ものすごくビタミンCを摂った気持ちになります。会社のこと、仕事のこと、職場のことを、たとえ話で表現してみると、よりわかりやすく明確に伝えることができます。

五感で言葉を探ってみる。

 五感とは「視覚」「聴覚」「触覚」「味覚」「嗅覚」のことです。職場や仕事について、それぞれの感覚でとらえたときに、どんな言葉がでてきますか。職場にはどんな音があり、どんな匂いなのか、手に触れるものはどんなものがあるか、それらにキャッチコピーのヒントが詰まってます。

ココだけのネタを見つけてみる。

 どこにでもある普通の会社だと思っていても、そこで働く従業員たちは、世界のどこにもいないココだけにいる人たちです。自分たちは普通に思っていても、外から見ると珍しいこともたくさんあります。業界用語なんて言葉もその一つです。この会社にしかない、またはこの業界にしかないネタを見つけてみましょう。

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