「なぜ、その人は選考で落とされたのか。」自分の主観と客観を知る訓練をしよう。

先日、ペルソナについて記事を書きました。求人広告でいうペルソナとは、採用ターゲットを綿密に紐解いていくことです。「20代の若い男…」ではなく「25歳の男性で、住んでいる地域は港区、趣味はフットサルで好きな食べ物はぺペロンチーノ…といった具合に採用ターゲットのスペックを、これでもか!というほどに紐解いていく試みです。

これを実際にやっていくと実に多くのことを発見、または再発見します。ワークショップなどで講師と一緒にやってみると、一人で行うよりも多くの発見に恵まれると思います。ただ、慣れないうちは、なんだかピンと来ない方もいらっしゃいます。しっくり来ていない方からすると「え?コレってなんの意味があるの?」となります。

誰でもいい!やる気があれば!以上!それ以外のことは思い浮かばん!←こんなことを言ってる人ほど、ペルソナのしがいが結構あるのですが、未経験者でも経験者でもどちらでもええ!なんて言ってる人は、ペルソナをやりたがりません。

ペルソナは自分の(雇用者側の)心の内を紐解く作業でもあります。自分では気づいていない偏見や差別など、固定化してしまった価値観を柔らかくしていく作業でもあります。

本当に欲しいと思う人材の基準とは何なのか。本当に出会いたい人はどこにいるのか。自社の望む採用ターゲット(ペルソナ)にトコトン向き合うことで、自分自身の固定概念のくさびが外れ、新しい自己発見が得られます。

どんな良い結果に繋がるのか。数値ではなかなか伝えられませんが、今日はちょっとした例をお伝えしたいと思います。

「B型なんて…」←を差別発言で片付けない。

まず、タイトルからしてすみません。全国のB型のみなさんごめんなさい。

これはB型への冒涜でも差別的発言でもありません。それどころか、これから血液型判断の悪しきイメージを振り払いたいのです。しばし、少しの間だけ!我慢してお付き合い頂ければ幸いにございます。

 

「B型はダメだ!」

「O型はどうもなぁ…。」

「またA型かぁ…」

 

血液型の性格テストが真実か嘘かは置いといて、採用の選考の過程で、血液型を持ち出す人がいます。そんな人いないって?いえいえ、たぶん、必ずどこかにいます。

「B型は人の話を聞かないから、採用するのは止めよう」

こんな会話が実際あったりなかったり…どれほど本気な話かはわかりませんが、もし本当に血液型が選考の重要な要素であるなら、B型の人からすればとんでもない話です。これまでの経歴や技術ではなく血液型が不利になるのですから。これは信じがたい話です。たまったものではありません。(僕自身、例え話で書いていても…各方面からお叱りを受けるのでは…思うほどです…)

血液型で選考するなんて…ないない。とお思いのアナタ。

ではもしこれが「性別」だったとしたら?どうですか?
「女はいいけど男はダメだ」とか「女はダメだ!男だけだ!」とか。

 

もしこれが「年齢」であったとしたら?

 

「30代ならいいが、40代はダメだ!」とか「20代しか取らない!」とか。

 

どうですか、だんだんと聞いたことがあるような話になってきませんか?

そろそろ誤解を解きたいと思いますが「B型」は決して「人の話を聞かない」人ではありません。身に覚えがあろうがなかろうが、そんなことはないのです。

その人が過去に出会ってきた、ある(B型の)個人が、たまたま「話を聞かない人」であっただけなのです。つまり…、

採用の選考において重視されるべきは「B型」ではなく「人の話を聞かない」というキーワードです。

偏見や差別のないようにしているつもりでも、自分の見えざる価値観に気づいた上で意見できる人は、それほど多くありません。だから、私は一旦そこも含めて全部を吐き出してしまえばいいと思っています。差別や偏見も多分にあるでしょう。本人がまったく気づかずにいる「固定概念」は大なり小なりあります。

それらを一旦全部吐き出してみる。

ペルソナを行う上で、重要なのはこの部分です。ペルソナを通じて自分自身の固定化された価値観を発見していくのです。

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「価値観」や「誤解」や「過去の失敗」が見えてくる。

女は採用しない!もし、社内でそう言ってしまう社長や部長や課長がいても、喰ってかかるのは一旦我慢してあげてください。それも隠さずに吐き出すのです。

なぜ、女はダメなのか、その背景を探ると意外な「価値観」や「誤解」や「過去の失敗」が見えてきます。ペルソナを考えていく途中で、一旦すべてをアウトプットする(吐き出す)為に、自分の中の偏見や差別を丁寧に認識していく。この作業が重要なのです。

皆さんが、無意識に持っているような潜在的な価値観や、他者と同じだと思い込んでいる、一般的だと思っている価値観を机に並べる作業です。

萎縮する必要はありません。偏見や差別的な要素も存分に含んでいます。「おいおい…」と思うこともあるでしょう。気にせず、勇気をもって自由に出してしまいましょう。

例え、社長が「若くて美人の女しか採用しない!」と言いだしても、決して「なんだこのエロおやじは」と思わないでください。実はその背景に何かしら理由が潜んでいるやもしれません。その理由を聞いてみるのです。

 

「若い女がいれば、会社の空気も華やぐし、男たちの能率もあがる」

 

なんて言ったとしても「差別だ!」といいたい気持ちをグッと飲みこんでください。つまり、社長が課題に思っていることは「社内はとても空気が悪い」ことなんです。それがどこをどう結び付いたか「若くて美人な女を採用する」に変換されたのです。

社長はただのエロおやじではないのです。会社の現状を嘆き、風通しの良い会社を目指したい一心だった(かもしれない)のです。

最近では適性診断を選考に使う企業も増えてきました。多くの人事担当者は採用者の性格的傾向や心理的思考を分析していますが、これだってどれだけ実際に採用成功に活かせているのかいないのか、よくわからないのが本音という方も多いと思います。

 

でも、採用の本音を紐解いていく作業を繰り返していくと、経営者の考えや採用担当者の腹の内がよく見えてきます。現場では過去にどんな失敗があったとか、採用後にどんな結果を経営者はのぞんでいるのか、よく見えてきます。

 

なぜ、その人は選考で落とされたのか。

 

今一度、社内の採用基準について、本音を探ってみてはいかがでしょうか。

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