ストーリーを語る「採用」へ。条件提示採用からキャリアプラン提案型採用へ。

「人材確保」は「集客」よりも重要

採用成功のひとつの目安は、一人あたりの採用費、つまり「費用対効果」です。
前年よりも安く抑えられれば、人事部としては満足のゆくところでもあります。しかし、採用はその時々の経済推移や社会情勢、そして世代別労働人口に影響を受けます。近年、本格化する「少子高齢化」の波を考えれば、今後、従来どおりの採用手法を続けていては「費用対効果」が上昇しつづけることは避けられません。

これまでと同じような採用対策では、人材確保は厳しくなっている。予測ではなく、実感している。これが2017年の採用の現場です。

では、これからの採用シーンはどのような対策が有効なのでしょうか。

 

・新しい求人メディアを開拓すればいいのか。
・紹介サービスや派遣サービスを検討すればいいのか。
・求人広告の打ち出しをどう変えればいいのか。

 

実は、それらの対策の前に、大切な前提があります。今日はその話をしたいと思います。

それは、企業が消費者(サービス購入者)に行うのと同じように、求職者に対しても、企業を魅力的にアピールするためのマーケティングを考えられるかということです。

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「条件」の差別化はいつまで通用するか

給与・ボーナス・社会保険完備・寮完備・各種手当・特別休暇…など、従来の採用手法では、企業側の条件提示(他社との差別化)が採用成功の鍵でした。同業他社よりも高い給与や福利厚生を提示し、応募者を獲得する。消費者向けのマーケティングであれば、価格・信頼・安全性・サポート・品質といったところでしょう。

しかし現在、他社との採用条件の差は徐々に狭まってきました。

他社より月額1万円賃金を上乗せしても、応募効果に目立った変化を感じないのではないでしょうか。話題になるほどの条件差を提示しない限り、採用成功の鍵とは言えなくなっています。

 

 

採用を料理に例えるならば「条件」は「食材」です。珍しい食材や品質・安全性など、食材が多様であればアピール材料になります。しかし現在、それだけでは、求職者の動機づけには弱いのです。

「条件提示」から「ストーリー」へ

採用を料理に例えるならば、条件は食材です。

これまでの採用は、多くの食材を提示し、豊富な食材の提供こそが喜びでした。ただ、その後の料理(人生設計)については、それぞれに個人に委ねられており、どんな美味しい料理に仕上げるかは、個人に託されてきたのです。

キャリア志向の高い人たちであれば、自らビジネス書や自己啓発書などを読み、理想のレシピを模索してきたことでしょう。しかし今、採用シーンでは食材をどう調理していくか、つまり、会社に入った後、どんなキャリアアップを実現するのかまで語られ始めています。

「働く」を通じたキャリアプラン・ライフプランを求職者に提案していくことが、今、求職者たちの心を掴む採用手法なのです。

 

「企業の理想」と「個人の理想」をマッチする

入社後の社員たちのキャリアプランを語ることは、採用マッチングの視点でも有効です。
企業の理想的なキャリア像と個人の理想が同調するからです。

 

入社1年目ならば、失敗談やクライアントからの感謝の声
入社3年目ならば、リーダーや店長などのキャリアアップの話
また、育児休暇などを経ての復帰後に、ワークライフバランスを実現させた話 …など

 

社内で巻き起こる様々な視点のリアルな社員ストーリー。
これこそが今、求職者の心を掴む「これからの採用手法」です。

求職者は自社より1万円給与が高い他社に応募するわけではありません。
家から一番近い会社に応募するわけでもありません。

人生を成功させるために「条件」を重視した採用から、何か自分にとって、理想の人生なのかを提案してくれる「ストーリー採用」へと変化しているのです。

社員たちの「働くストーリー」を通じて、ライフプランまでも演出できる。
「共感性」の視点から生まれる採用活動が、これからの主流となるでしょう。

「働き方」「生き方」の演出をするということ。

ここまで大人しくつらつら書いてきましたが、働き方の演出ってすごい話なんですよ。企業が従業員を迎えるってことは、個人の人生に大きな影響を及ぼすもの。そんなことにあらためて気づかされる話だからです。

採用とは企業だけではなく、そこで働く個人に対しても大きな人生の分岐点を与えることになります。だからこそ、真摯に、真剣に採用に向き合わなければならない。

ストーリー採用の手法も口でいうには簡単ですが、実際に行っていくには「真摯さ」「真実味」が必須になってきます。リアリティのない、嘘のストーリーでは共感性は生まれません。

共感性の高いストーリーを描ける求人ライターの存在。そして何より、企業自体が採用に真摯に向き合う姿勢が必要となってくるのです。

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