プロなのに…実は自社採用で苦労している「求人広告会社」の実態

12月に入るとさすが「師走」というだけあって、世間がどうにもこうにも、バタバタしているように感じます。私はといえば、今年一年のやり残しに追われ、もうなんだか気ばっかり焦ってしまって。

そんなわけで本日は緩めにダラダラ書いていこうと思います。さて、どんなことを書こうとしているかというと「プロだ!プロだ!というわりには、求人広告会社が実は自社採用に苦労している」そんなテーマで記事を書きたいと思います。(業界内から怒られそうですが…)

先に言っておきますが、人材業界は2016年現在でもおそらく8兆円規模のビック業界です。その中で求人広告を扱う市場はだいたい1.9兆円くらい。なかなかの規模です。星の数ほどとは言わないまでも多くの求人広告会社が存在し切磋琢磨している業界。もちろん一概に、求人広告会社は自社採用が下手だとは言いません。ただ、勝つものがあれば、負けるものもある。求人広告会社のなかには、プロとはほど遠い会社や営業マンもたくさんいます。今回はそんなダメな方面の求人広告会社を例に、気軽に読んでいただけたら幸いです。

 

この記事のキッカケはあるお客様からのボヤキからでした。「うちの会社の求人担当はよく変るんだよ。半年に一回は変わってるんだよ……。」

人材採用は企業にとっては大事なミッションです。できれば優秀な担当者に継続的に担当してもらいたいというのが本音でしょう。それが頻繁に担当替えされてしまう。新しい担当になれば、またイチから現状の説明や採用の方向性を打ち合わせしなければならない。そりゃボヤキたいのも当然です。

担当がコロコロ変わる理由は業界内にいる私にはスグにわかりました。求人広告業界で担当が変わる理由のほぼ9割は「退職」です。広告業界全般に言えることなのかもしれませんが、求人広告を扱う会社の多くは離職率が極めて高く、私が昔所属していた某求人メディアの最大手代理店では、毎月必ず退職者の送別会がありました。もはや別れが日常過ぎて、腰を据えて働くという感覚を得たのは、35歳も過ぎた最近のことです。

一年中退職者がいる求人業界。業界で一度でも働いたことのある人であれば、確かにそのとおりだと思うはずです。退職者が多いことはブラック企業の一面もあるにはあるでしょう。ただ、今回はそこを掘り下げるとややっこしくなりそうなので、別の面で話を進めたいと思います。それは「そもそも定年まで働くような仕組みではない」という点です。

 

求人広告会社は3年で飽きる。

これもなんだか業界に喧嘩を売ってそうなタイトルですが(笑)大丈夫かな。簡単に言ってしまうと、求人広告会社のほとんどは「求人売ってこい~!イケイケ!GOGO!」って体制です。ようは頭を使うよりはカラダを動かせ!考えるより先に1件でも多く電話しろ!求人は宝探しだ!といった具合です。

お客様にとって、どの求人メディアが一番最適なのか。そんなことを考えている求人営業マンは少数です。ほとんどの求人営業マンは「今週のキャンペーン情報!売り文句はコレでいけ!」といった営業ハウツーをもとに、ただひたすらに電話を掛け、飛び込み営業を繰り返すのです。

多くの人事部の方が経験されてきたと思います。例えば

「最初の商談やプレゼンは良い感じだったのに、実際広告を任せていくと全然期待通りの結果ではなかった」

この感覚のネタばらしは単純です。最初の商談の売り文句や最初のプレゼン資料は、別のプロが作り用意されていたものだからです。営業マンはそれを持って、100件なら100件配りまわっていただけのことなのです。実際に求人広告の制作や効果検証など、実務になればメッキが剥がれていくのは当然なのです。

まぁ、そんな環境で積まれていくのはキャリアアップではなく、単純に顧客の数です。ある程度、顧客の数が増えていけば、リーダーや課長になっていきますが、それでもやる仕事は変わりません。毎週のようにキャンペーン情報の売り文句を覚え、ひたすら電話をかけるのです。

そうなると、だいたい3年くらいで人は仕事に飽きます。そして3年を境にだいたい辞めていきます。求人広告会社の営業マンって、比較的若い層ばかりだと思う理由がコレです。40~50代の組織に必死にしがみ付く求人営業マンはそれなりにいますが、中間層の30代がなかなかいないのはその為です。

感の良い人材であれば、このままの営業スタイルでは何のキャリアップにも繋がらない。そう考えて辞めていくのです。

 

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求人広告会社の求人費はタダ!

もうひとつ!採用に向き合うスタンスの違いが、採用の下手さを招いている実態があります。

多くの企業に「採用費はコストではない!投資です!」なんて言っておきながら、実は多くの求人広告会社が自社募集をする時、求人メディアによっては無料(タダ)で掲載しています。無料でなくとも、大幅な値引きで掲載できています。裏を返せば、だから一年中「求人営業職」の募集が載っているわけです。

なんとも羨ましい話と思う人事担当者の方も多いと思います。求人費にお金をかける文化がない。これが実は求人会社の営業力をダメにしている要因でもあります。採用が失敗した時の求人費の痛みを知らないわけです。失敗してもタダであれば、またもう一度チャレンジすればいい!となりますが、お金がかかるとなれば話は別です。一度のチャレンジだって慎重になります。

この緊張感の違いが、採用に対する緊張感の違いにも現れているのです。

未経験OK!高卒以上!大量採用!

もし、誰でもいいから若い層を大量に応募させたい!そう思うなら、求人広告営業の求人募集を参考にするのもひとつ手です。求人会社は一年中、求人を出し続けています。とにかく片っ端から採用しています。未経験でも、社会経験がなくてもいいのです。やることは非常に単純な作業ですから、下手に戦略的な思考の持ち主だと、スグに辞めてしまいます。元気があればそれでOK!な世界なのです。

まぁ、話を戻してゆくと、求人のプロが作る自社広告ですから、やはり参考になります。広告の訴求も鋭い切り口だったりします。逆にいえば、自社の求人広告がイマイチな求人広告会社とはお付き合いしない方が無難です。名刺屋の社員の名刺が汚いようなものです。

お取引のある求人広告会社の自社採用広告が、魅力的であるなら、優秀な求人広告制作が在籍している証拠でしょう。取引先選定のひとつの材料としても有効です。

 

 

さて、今日はダラダラと書いてしまいました。「採用のプロ」とかいろいろ言いながらも、プロでも自社採用は苦労しているというお話でした。この記事を引き合いに、うちは自社採用ではまったく苦労していません!なんて採用コンサルタントが現れても騙されないでくださいね(笑)

採用は苦労するものです。企業は人なり。ですから、なんでもかんでもお任せで全自動で終わらせるわけにはいきません。しっかりと自分たちで採用を考えていく!それが私の目指す採用の基本です。

 

では

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