このブログを読んでいるみなさんの多くは、会社の人事に携わっているか、もしくは経営をされている方がほとんどでしょうか。今日お話しする内容は、求人メディアで語られる「集客」についての話です。
インターネットの世界ではとりわけ「集客論」が良く語られます。PV数といったり、閲覧数といったり、つまりはそのwebサイト(ページ)にどれくらいの人数が見に訪れているのか。それがサイトの価値であり、webサイトのパワーだと。
「当サイトは月間100万人が見ています」
「PV数が他より圧倒的数値なんです」 といった話ですね。
求人メディアも集客は大事です。認知度が高く、たくさんの求職者が訪れるサイトであればあるほど、閲覧数が増えるわけですから、企業にとっては魅力的です。同時に求職者にとっても同じこと。求人メディアはより魅力的な企業を多く掲載し、同時に多くの求職者のサイト訪問を促すことで、また企業が集まっていく。古い言い方をすればWin×Winの関係が成功の鍵となります。皆さんの周りにもいるのではないでしょうか。例えばこんな話の流れです。
「PV数(応募数)を上げていきましょう。」
「検索軸を増やしましょう。」
「掲載プランの枠を上げて、上位表示しましょう。」
新規の飛び込み営業とかになると「ユーザー数が業界No.1なんです。」なんてことを言って求人メディアを売ってきます。彼らの理屈は何かというと、より有名な求人メディアに出稿して、より多くの人に募集広告を見てもらって、より多くの応募者を集めよう。ということですよね。つまり集客を軸とした話です。
最初に言っておきますが、別に否定はしないです。ごもっともな意見ではあります。閲覧数や広告の露出を上げることは間違いではありません。しかし、私が言いたいのは“それで本当に採用成功するの?”ってことです。最近ですと、ネットでの「集客」について、カリスマコンサルティングなんて人が「採用」について語ったりしている姿をみたりもしますが、基本的に言ってることは皆同じです。「見る人を増やす!」ってことの一点です。
露出を増やすことを優先する「求人手法」
昔からそうです。紙の雑誌のころから、部数だとか、掲載枠の大きさだとか、言ってることは今も昔も変わりません。とにかく露出を増やすことが広告は大切だって言ってるのです。より有名な求人メディアに出稿して より多くの人に募集広告を見てもらって より多くの応募者を集めよう。ぜんぜん、否定しません。ただ、結局それで採用成功してないよね?。もし成功してるなら、知名度がなくとも、お金持ってる企業は採用成功しているはずです。お金を積めばwebサイトのトップに掲載することだってできるんですから。広告ページの1ページ目にある企業は軒並み、採用成功していますよね。でも、実際どうでしょうか?来週も、その次の週も、同じような企業が1ページ目に掲載していませんか?なぜリピートしているのでしょう。それは反響がないからです。
10万人も20万人も求職者が訪れるサイトに掲載して、だいたい良くて3万~5万人くらい広告を見てくれて、そんな中から応募してくれる人が5人~10人くらいでしょうか。それから面接の連絡をして、当日来てくれる人が1~2人。でも、どうにもこうにも、20万人から選ばれたような感じじゃない。正直、今にも従業員が欲しいけれど、この子では難しい…。採用したくない。例え採用してもスグに辞めてしまう…。いやいや、まだ、面接に来れば良い方で、結局、当日面接ゼロなんて日もある。
みなさんこう思ったことはありませんか?「10万人も20万人も求職者がいるってサイトなのに、本当に意欲的な子なんてひとりもいやしないっ!!!」って。
そうです。人材採用というのは「応募数」を上げるだけでは成功しないんです。確率は確かに上がります。応募数が増えれば面接数も増えるも知れません。採用の選択肢も増えるかもしれません。少子化の影響で、応募数も乏しくなってきている時代ですから、応募がないと面接もできないじゃないか…という声も一方にはあります。しかし、大きな広告枠を買うだけでは、大手のメディアに出すだけでは、本当の解決にはなりません。
どんなに出稿量を増やしても どんなにPV数を増やしても 採用の原点を忘れてしまっては 本当の採用成功にはつながらないのです。では、どうすればいいのか?その答えは、このブログの他の記事の中で“採用手法”や“採用の考え方”などを通じて見えてくるとは思いますが、今回は基本中の基本である“最高に大切な原点”をお伝えしたいと思います。それは、
「誰を採用したいのか」という原点
“なぜ、最近応募が少ないのか”
“なぜ、採用してもすぐ辞めてしまうのか”
“なぜ、採用したい人がいないのか”
これらはすべて、“誰を採用したいのか”という基本が抜け落ちているから起きる悲劇なのです。100人応募があろうが、1000人あろうが、誰が採用すべき人材かがわからなければ、必ず失敗します。その失敗が平然と行われているのが、今の採用の現場です。もし、今、アナタの会社で採用が上手くいっていなかったとしたら。採用を担当する面接官(おそらくは上司や役職者)を注意深く観察してみてください。もしかしたら、こんなワード言ってませんか?
「今日の面接の子は、素直な感じでナンカイイね!」
「昨日の面接の子は、イイ感じだ。」
「俺の経験だと、アレはダメだな。」
「なんとなく」「いいかんじ」「経験だと」などなど、自分だけがわかる感覚と、印象値。これでは採用がうまくいきません。どんな人材を採用したいのか。それを皆が共有でき、理解できる。それが重要です。一時面接、二次面接、社長面接と、それぞれで選考のチェック項目は異なるにせよ、それぞれが“感覚だけで選考”を行っていては、本当にその企業に必要となる人材を見つけることはできません。
何十万円もの求人広告掲載費をかけて、それなりに多くの時間を費やして、担当面接官が「何となくイイね」「何となくダメだな」って選考していたら、社長さん!それでいいと思いますか?
採用とは、10万人だろうと、20万人だろうと、webサイトに集まる求職者(集客数)が多いサイトから、消去法で選考をするのではありません。採用したい人材を徹底的に分析し、ターゲットを設定し、本当に欲しい人材は誰かを導き出し、そのひとりを探しに行く“採用の旅”なのです。
少しでも共感頂けましたら、他の記事もぜひご覧ください。当ブログでは、個別相談や採用のプロのご紹介も行っております。ご興味のある方はご連絡ください。
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